先月八月、いつだたったかNHKで宮崎駿の特集があった。
一年半にわたり、「岸の上のポニョ」の製作現場に密着取材した、貴重なドキュメントだった。
彼は67歳だった。67歳だと、あれだけの疲労がたまるのかと、その面でも非常に参考になった。
それと、宮崎駿の死への緊張感が凄いのにも驚いた。60歳の誕生日をむかえると、同じことの繰り返しと言っていたことが、後30回あるかないかと言う事になる。有限を痛切に感ずることは確かだが、未だ私には彼ほどの死への切迫感はない。
画像は竹行灯のポニョ。幻想的でいい。

この特集で参考になったことは沢山ある。絞り込むと次の三点だ。
①自分が描きたい場面を描いて行く。
これを起点にしてストーリーを展開していくわけだ。
②ストーリーが未完の内に絵コンテを描いている。
映画とかテレビとかもそうかもしれないが、これにはぞっとした。
③「人を楽しませたい」という強烈な願望があること。
別の言葉で言うと、人に運命をゆだねない。自らの内なる所に居て、生きいきと生きる。
直接的に役立ったのは、①だ。自分の今の具体的な作業の起爆剤になるし、行動指針にもなる。あるいは羅針盤になるとも言える。あるいは北極星に例えることもできる。
「自分の見たものをテコにして、想像力を膨らませて行く。 そして、自分の引き出しを一つずつ開いて行く」と言う彼の言葉を聴いて、私は確信した。
私が見た風景は私の中で集積し、そして遺伝すると。
私の親父と私は、しばしば同じ風景を目に留めた。同じことが私と私の息子達についても言えるのではないか。そして多分、私と孫の飛陽についても。一つの検証は彼らが撮る写真だ。あるいは描く絵だ。
だから、風景を目に留めよう。繰り返し見たとしても、後30回だ。



